【電気危険防止】停電作業と活線作業・活線近接作業(絶縁用保護具・防具、活線作業用器具・装置) ~労働安全衛生規則の感電事故防止〔その2〕~

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労働安全コンサルタント

 

【電気危険防止】停電作業と活線作業・活線近接作業(絶縁用保護具・防具、活線作業用器具・装置) ~労働安全衛生規則の感電事故防止〔その2〕~

 

労働安全衛生規則(命令のうち省令)の第5章では、「電気による危険の防止」が記されています。

 

大きく分けて、「電気機械器具」や「配線」の設備的なルール、「停電作業」や「活線作業」などの作業的なルール、「作業管理」に関する管理的なルールの3つが記されています。

 

過去記事の〔その1〕では、「電気機械器具」や「配線」の設備的なルールについて、労働安全コンサルタントの視点で紹介しました。

 

今回の〔その2〕では、「停電作業」と「活線作業・活線近接作業の前半部分(感電防止用保護具・作業用器具)」について、紹介します。

 

なお、法令の条文を用いて解説しますが、条文は難解なため、最後に<今回のまとめ>で要約しておりますので、そこだけ見てもポイントを理解できるようにしています。

 

 

第3節 停電作業

 

第339条 停電作業を行う場合の措置

 

第1項

 

事業者は、電路を開路して、当該電路又はその支持物の敷設、点検、修理、塗装等の電気工事の作業を行なうときは、当該電路を開路した後に、当該電路について、次に定める措置を講じなければならない。当該電路に近接する電路若しくはその支持物の敷設、点検、修理、塗装等の電気工事の作業又は当該電路に近接する工作物(電路の支持物を除く。以下この章において同じ。)の建設、解体、点検、修理、塗装等の作業を行なう場合も同様とする。

 

<要約>事業者が、線路開閉器を開いて(切って)、停電作業する際の取り決め事項を以下に定めるということです。

 

第1号

 

開路に用いた開閉器に、作業中、施錠し、若しくは通電禁止に関する所要事項を表示し、又は監視人を置くこと

 

<要約>開閉器を開いて、停電作業をする際に、感電防止のため、勝手に通電させないための措置を決めています。

 

図1.通電禁止措置

 

第2号

 

開路した電路が電力ケーブル、電力コンデンサー等を有する電路で、残留電荷による危険を生ずるおそれのあるものについては、安全な方法により当該残留電荷を確実に放電させること

 

<解説>電力ケーブルは、停電しても絶縁材の静電容量(コンデンサ)分に残留電荷が蓄積されています。また、力率改善やサージ吸収用に用いる電力用コンデンサが停電してもコンデンサ分に残留電荷が蓄積されてます。よって、停電作業で触る前に、検電して接地放電をしてから、作業にあたる必要があります。

 

図2.電力用コンデンサ

 

第3号

 

開路した電路が高圧又は特別高圧であつたものについては、検電器具により停電を確認しかつ、誤通電、他の電路との混触又は他の電路からの誘導による感電の危険を防止するため、短絡接地器具を用いて確実に短絡接地すること

 

<解説>高電圧以上(交流600V、直流750V超過)の電路で開閉器を開いて停電作業をしても、誤って投入されるケースが考えられます。その際、高電圧以上に感電した場合に、死に至る人身事故が発生するため、誤って投入しても流入点を接地しておけば、その流入点が0電位になるため、作業員は感電しません。接地器具を取付ける際に、誤って充電部に取付けないように、直前に検電します。

 

図3.短絡接地器具

 

第2項

 

事業者は、前項の作業中又は作業を終了した場合において、開路した電路に通電しようとするときは、あらかじめ、当該作業に従事する労働者について感電の危険が生ずるおそれのないこと及び短絡接地器具を取りはずしたことを確認した後でなければ、行なつてはならない。

 

<解説>開閉器を操作する者と、停電作業を実施する者とが異なる場合があります。その際に、開閉器を操作する者は、停電作業を終了した者に対して、感電の危険がないことと短絡接地器具を外したことを確認する義務があります。

 

 

第341条 高圧活線作業

 

第1項

 

事業者は、高圧の充電電路の点検、修理等当該充電電路を取り扱う作業を行なう場合において、当該作業に従事する労働者について感電の危険が生ずるおそれのあるときは、次の各号のいずれかに該当する措置を講じなければならない。

 

<解説>活線作業は、送配電線の点検や補修作業を電圧がかかった状態で行うことです。停電作業よりも当然、危険度が高い作業となります。停電できない場合のやむを得ない作業と言えます。電気安全作業の基本は停電作業であり、活線近接作業や活線作業はやむを得ない措置です。

 

 

第1号

 

労働者に絶縁用保護具を着用させかつ、当該充電電路のうち労働者が現に取り扱つている部分以外の部分が、接触し、又は接近することにより感電の危険が生ずるおそれのあるものに絶縁用防具を装着すること。

 

<解説>感電防止用保護具

 

a.絶縁用保護具:身体に着用

 

電気用ゴム手袋、電気用帽子(ヘルメット)、電気用ゴム袖、電気用長靴

 

図4.絶縁用保護具

 

b.絶縁用防具:充電部側に取付

 

ゴム絶縁管、ゴムシート、碍子カバー

 

図5.絶縁用防具

 

第2号

 

労働者に活線作業用器具を使用させること。

 

<解説>活線作業用器具:絶縁用工具

 

ホットステッキ

 

図6.活線作業用器具(ホットステッキ)

 

第3号

 

労働者に活線作業用装置を使用させること。この場合には、労働者が現に取り扱つている充電電路と電位を異にする物に、労働者の身体又は労働者が現に取り扱つている金属製の工具、材料等の導電体(以下「身体等」という。)が接触し、又は接近することによる感電の危険を生じさせてはならない。

 

<解説>活線作業用装置:活線作業用機械類

 

活線作業用車、活線作業用絶縁台

 

図7.活線作業用装置(高所作業者)

 

第2項

 

労働者は、前項の作業において、絶縁用保護具の着用、絶縁用防具の装着又は活線作業用器具若しくは活線作業用装置の使用を事業者から命じられたときは、これを着用し、装着し、又は使用しなければならない。

 

第342条 高圧活線近接作業

 

事業者は、電路又はその支持物の敷設、点検、修理、塗装等の電気工事の作業を行なう場合において、当該作業に従事する労働者が高圧の充電電路に接触し、又は当該充電電路に対して頭上距離が30cm以内又は躯く側距離若しくは足下距離が60cm以内に接近することにより感電の危険が生ずるおそれのあるときは、当該充電電路に絶縁用防具を装着しなければならない。ただし、当該作業に従事する労働者に絶縁用保護具を着用させて作業を行なう場合において、当該絶縁用保護具を着用する身体の部分以外の部分が当該充電電路に接触し、又は接近することにより感電の危険が生ずるおそれのないときは、この限りでない

 

<要約>高圧活線近接作業で頭上30cm以内に接近する場合は、ヘルメット、絶縁上衣、絶縁ゴム袖・ゴム手袋、相本60cm以内に接近する場合には、絶縁ゴム長靴を着用すること。

 

第2項

 

労働者は、前項の作業において、絶縁用防具の装着又は絶縁用保護具の着用を事業者から命じられたときは、これを装着し、又は着用しなければならない。

 

<解説>安全に関しては、事業者の命じられなくても自分の身は、自分で守るという意識が必要である。

 

 

第343条 絶縁用防具の装着等

 

第1項

 

事業者は、前2条(第341条)の場合において、絶縁用防具の装着又は取りはずしの作業を労働者に行なわせるときは、当該作業に従事する労働者に、絶縁用保護具を着用させ、又は活線作業用器具若しくは活線作業用装置を使用させなければならない。

 

<解説>絶縁用防具を装着及び取り外し行為自体が、活線作業で危険なため、労働者には絶縁用保護具を着用させ、又は活線作業用器具・装置を使用させなければなりません。

 

第2項

労働者は、前項の作業において、絶縁用保護具の着用又は活線作業用器具若しくは活線作業用装置の使用を事業者から命じられたときには、これを着用し、又は使用しなければならない。

 

 

<今回のまとめ(要点)>

 

・事業者が、線路開閉器を開いて(切って)、停電作業する際には、開閉器に通電禁止措置を施すなどの取り決め事項がある。

 

・電力ケーブルは、停電しても絶縁材の静電容量(コンデンサ)分に残留電荷が蓄積されています。

 

・力率改善やサージ吸収用に用いる電力用コンデンサが停電してもコンデンサ分に残留電荷が蓄積されてます。よって、停電作業で触る前に、検電して接地放電をしてから、作業にあたる必要があります。

 

 

・高電圧以上(交流600V、直流750V超過)の電路で開閉器を開いて停電作業をしても、誤って投入されるケースが考えられます。

 

・その際、高電圧以上に感電した場合に、死に至る人身事故が発生するため、誤って投入しても流入点を接地しておけば、その流入点が0電位になるため、作業員は感電しません。

 

・接地器具を取付ける際に、誤って充電部に取付けないように、直前に検電します。高電圧以上の検電の際には、ゴム手・ゴム長靴を着用する。

 

・開閉器を操作する者と、停電作業を実施する者とが異なる場合があります。その際に、開閉器を操作する者は、停電作業を終了した者に対して、感電の危険がないことと短絡接地器具を外したことを確認する義務があります。

 

 

・活線作業は、送配電線の点検や補修作業を電圧がかかった状態で行うことです。停電作業よりも当然、危険度が高い作業となります。停電できない場合のやむを得ない作業と言えます。また、作業時間の短縮を目的に、活線作業を実施するケースもあります。

 

・電気安全作業の基本は停電作業であり、活線近接作業や活線作業はやむを得ない措置です。

 

・高圧活線近接作業で頭上30cm以内に接近する場合は、ヘルメット、絶縁上衣、絶縁ゴム袖・ゴム手袋、足下60cm以内に接近する場合には、絶縁ゴム長靴を着用すること。

 

・絶縁用防具を装着及び取り外し行為自体が、活線作業で危険なため、労働者には絶縁用保護具を着用させ、又は活線作業用器具・装置を使用させなければなりません。

 

・安全に関しては、事業者の命じられなくても自分の身は、自分で守るという意識が必要である。

 

 

関連記事:【電気危険防止】電気機械器具と仮設配線 ~労働安全衛生規則の感電事故防止(その1)~

 

 https://www.licenseengineer.com/archives/5982

以上

 

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