資格を取得した後に、技術の進歩や法令の改定などの知識の更新を目的とした定期講習が義務付けられている資格があります。
私は、講習の義務がある資格をいくつか保有しており、何種類かの定期講習に参加した経験があります。
また、義務ではなく自己啓発として参加した資格の保有者講習の受講経験がありますので、今後、それらの受講経験の概要などを紹介していきたいと思います。
今回は、「第1種電気工事士の定期講習」について紹介します。 なお、冒頭の写真は、講習時に貰ったテキストの表紙を撮影したものです。
1.定期講習の義務
自家用電気工作物については、構造が多様、複雑で、性能・機能に係る技術進歩も早いところから、その電気工事を行うことができる第1種電気工事士は、自家用電気工作物に関する技術及び保安規制に関する知識を常に更新していくことが不可欠です。このため、第1種電気工事士については、免状の交付を受けた日から5年以内に、又は、その後も前回の受講日から5年以内毎に、経済産業大臣の指定する者が行う自家用電気工作物の保安に関する講習を受講することが、電気工事士法により義務付けられています(電気工事士法第4条の3)。
※ここで、第2種電気工事士については、一般用電気工作物の電気工事しか取り扱わないため、定期講習の義務は特にありません。電気工事士の種別毎に関わる電気工作物の区分は、別記事で解説しているため、末尾にリンクを貼りますので参考にしてください。
2.定期講習の科目
講習は、電気工事士法施行規則第9条の15において、次の科目について行うことを定めています。
①自家用電気工作物の保安に関する法令
②自家用電気工作物に係る電気工事に関する知識
③自家用電気工作物に係る電気工事に関する事故例
以上の3科目を講習内容に網羅する必要があります。
3.定期講習の実施機関と比較
第1種電気工事士定期講習制度については、平成24年5月に電気工事士施行規則の一部が改正され、指定講習機関について従来の一者指定から複数機関を指定できる制度に見直しがありました。
①一般財団法人電気工事技術講習センター
http://www.eei.or.jp/
受講料:9,000円(非課税)
*開催日が比較的多い、47都道府県ほか地方開催もあり
②株式会社東京リーガルマインド
第一種電気工事士定期講習運営本部
http://www.lec-jp.com/denkou/teiki/
受講料:10,190円(10%税込)〔*早割8,150円(10%税込)〕
*開催日が比較的少ない、主要な地方都市部中心の開催
③株式会社日建学院 第一種電気工事士定期講習本部事務局
http://www.nik-g.com/
受講料:8,500円(税込)
*開催日の多さは少な目、47都道府県で開催
④株式会社総合資格学院法定講習センター 電気講習係
http://hotei.shikaku.co.jp/
受講料:8,000円(税込)
*開催日の多さは普通、47都道府県で開催
※上記の受講料は、2019年12月現在の価格です。なお、5年毎の講習タイミング忘れ防止のために、上記機関への事前登録により通知を貰うことをお勧めします。
4.定期講習の一日の流れと時間配分
全体で約7時間程度であり、私が貰ったスケジュール表(定期講習カリキュラム)を以下に、掲載します。
※最後に免状の講習受講記録欄に「受講年月日」:和暦の年月日の判、「受講場所」:都道府県名の判、「受講実施者認印」:実施機関のシールで記録されます。
5.定期講習の状況と配布テキスト
・30名程度入れる教室のような会場で、20名程度の受講者が来ていました。
・上記に掲載した時間割により映像モニタで講義が進められます。映像モニタは、講師やナレーターにより事前に撮影されたものので、質疑応答の場は特にありません。
・休憩毎に、受講者が居るかをチェックする係員が居ました。
・テキストは冒頭の画像に掲載したものです。A4版で約300ページのボリュームで構成されています。
6.定期講習を受講した感想ほか
・受講機関の選択については、私の場合、実施機関で選んだというよりも、行ける日程と開催場所より、株式会社日建学院で受講しました。
・講習のうち法令関係の改正については、「太陽電池発電設備(パワコン・太陽電池モジュール)の設置方法による責任分界点」、「内線規程に関するEV充電用漏電遮断器の配置」など新技術の適用等で見直しがあった部分を確認できます。
・法令関係について定期講習のスパン5年間の期間中に改定があったものは、受講者に漏らさず伝えるように毎年見直しているとのこと。
・微量PCB廃棄物や水銀が封入されている蛍光・水銀ランプの処理に関する取扱いなど時事的な問題や動向を知ることが出来ます。
・高調波障害対策や雷保護システムに関する複雑な内容についても、講義やテキストで取り扱っていました。
・電気事故事例は、映像やテキストでの紹介があり、やはり戒めとなります。
・テキストは、(一般社団法人)日本電気協会や(一般社団法人)日本電設工業協会などの文献を参考にし、構成されたもので、自家用電気工作物の保安・工事の参考書として十分活用できる内容となっています。但し、制作・編集者は、実施機関毎に作成しているため、若干の違いはあるようです。
7.定期講習に対する今後の希望
・事前に撮影した映像とテキストでの講習であれば、わざわざ決められた日に会場まで行かずに、WEBにより自宅でも受講できる内容でした。
・定期講習は、5年以内であり、次回の講習は、前回の受講日から5年以内であるため、各自、なるべく受講日をギリギリに設定したいところです。しかし、現状では、実施機関毎に講習日が決められており、土日祝の開催がなく平日限定であるため、自身の予定と照らし合わせた結果、数ヶ月前倒しでの受講となってしまうケースが生じます。
・WEB受講であれば、約7時間の受講内容を細分化し、自分の都合に合わせて自宅や職場にて受講することが可能であるため、今後、是非ともWEB講習が可能となるように見直してほしいと思います。
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以上
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