【電気事業法】電気工作物の区分 ~一般用・事業用・自家用の分類~

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電気主任技術者(第1種、2種、3種)

 

【電気事業法】電気工作物の区分 ~一般用・事業用・自家用の分類~

 

今回は、電気工事士の工事範囲、電気主任技術者の保安監督の範囲で取り上げられる電気工作物の区分について解説します。  

1.電気工作物とは

(電気事業法第2条)
電気工作物とは発電、変電、送電、配電又は電気の使用のために設置する受電設備(機械、器具、ダム、水路、貯水池、電線路など)をいい、事業用電気工作物、一般用電気工作物があります。 発電、変電、送電若しくは配電又は電気の使用のために設置された工作物であり、土地等に固定して設備されたものをいう。ただし、次の工作物は“電気工作物”から除外される。
① 船舶、車両、航空機等に設置される電気設備
(注) 陸上の固定した電気設備に電気を供給するための発電船、発電車、変電車等の工作物は、電気工作物の適用を受ける。
② 30V以上の電気設備と電気的に接続されていない30V未満の電気設備
(注) 「電気的に接続」とは、電線が直接接続されたり、変圧器、インバータ等によって接続されることをいう。

2.電気工作物の体系的区分

(※経済産業省HP>産業保安規制の業務内容より)  

3.電気工作物区分の概略図

(※経済産業省HP>産業保安規制の業務内容より)  

4.事業用電気工作物とは

(電気事業法第38条)
一般用電気工作物以外の電気工作物を事業用電気工作物という。事業用電気工作物は、“電気事業の用に供する電気工作物“と”自家用電気工作物“の二つに区分される。電気事業法第38条によれば、一般用電気工作物以外の電気工作物を事業用電気工作物という。  

(1)電気事業の用に供する電気工作物

 電気事業とは、次の3つの事業をいう。
① 一般電気事業…一般の需要に応じ電気を供給する事業であり、電力会社の事業が該当する。
② 卸電気事業…一般電気事業者に電気を供給する事業であって、その事業の用に供する発電機出力の合計が200万kWを超え、かつ、その出力の50%以上を一般電気事業者へ供給する事業。
③ 特定電気事業…特定の供給地点における需要に応じ電気を供給する事業。
(注)供給地点とは、一建物を単位とするものである。
これら3つの事業を営む事業者が、需要者へ電気を供給するために直接必要となる電気工作物を“電気事業の用に供する電気工作物”という。具体的には、電気供給事業に用いる発電所、変電所、電線路、開閉所などである。
ただし、これら事業者の電気工作物の内、需要者へ電気を供給するのに直接必要とされない営業所、社宅等の電気工作物は、“電気事業の用に供する電気工作物”に含まれない。このような電気工作物は、“一般用電気工作物”または“自家用電気工作物”に該当する。

(2)自家用電気工作物

(電気事業法第38条)
事業用電気工作物のうち、“電気事業の用に供する電気工作物”以外の全ての電気工作物を自家用電気工作物という。すなわち、“一般用電気工作物”にも“電気事業の用に供する電気工作物”にも該当しない発電所、変電所、開閉所、電線路、需要設備…などの電気工作物が自家用電気工作物である。
なお、最大電力500KW未満の需要設備については、電気工事士法における規制対象物であり、その電気工事の作業に従事するには、電気工事士法で定められた資格を必要とする。  

5.一般用電気工作物とは

概括的には、一般家庭や商店等に設備される電気工作物をいうが、厳密には、次の要件を全て満たす電気工作物を一般用電気工作物という。なお、一般用電気工作物は電気工事士法における規制対象物であり、その電工事の作業に従事するには、電気工事士法で定められた資格を必要とする。
以下の①~⑤の要件を全て満たす電気工作物が、一般用電気工作物である。  

① 他の者から600V以下の電圧で電気の供給を受けている電気工作物であること。

* 他の者とは、一般電気事業者及び特定電気事業者であり、一般的には東京電力等の電力会社である。
電力会社は、600V以下で電気を供給する場合、100V又は200Vの定められた電圧で電気を供給することから、上記条件は一般的に電力会社から100V又は200Vの電圧で電気の供給を受けている電気工作物を指す。

② 供給された電気を使用するための電気工作物であること。

* 一般家庭や商店等で電気を消費するに必要となる設備であり、具体的には次の設備が上げられる。
・屋内配線設備(屋内に布設された電線類、分電盤内のブレーカ類、壁に取付けられたコンセント類など・・)
・屋側配線設備(建物の外壁に沿って布設された電線類、外壁に取付けられたコンセント類など…)
・屋外配線設備(庭などの敷地に布設された架空電線及び地中電線など…)
・小出力発電設備
600V以下の電気を発電する出力50KW未満の太陽電池発電設備、出力20KW未満の風力発電設備及び水力発電設備、出力10KW未満の内燃力を原動力とする火力発電設備及び燃料電池発電設備であって、かつ、それらの合計出力が50KW未満のもの(総量規制)。
小出力発電設備は電気を発電するための設備であるが、電気事業法では、これを危険性の少ない小規模な発電設備とし、屋内配線設備等の一般用電気工作物と同一構内において電気的に接続して設置するものであり、かつ、発電した電気を構外の電気工作物に常時電気を送出す(逆潮流)ものでない場合に限り、“電気を使用するための電気工作物“に含まれる一般用電気工作物に該当するとしている。

③ 電気の供給地点(受電点)とその電気を使用するための電気工作物が同一構内にあること。

 * 電気の供給地点(受電点)とは、電気事業者(電力会社等)の電気工作物と電気需要者の電気工作物の財産分界点(責任分界点)をいう。従って、電気の供給地点(受電点)を境に事業用電気工作物と一般用電気工作物が区分されることとなる。
この受電点と電気を使用するための電気工作物(小出力発電設備を含む)とが同一構内に設置されていなければ一般用電気工作物に該当しない。“構内”については、塀、堀等によって明確に区切られており、一般人が自由に立ち入ることがない区域とされている。

④ 構外の電気工作物と接続する電線路は、電気の供給を受けるための電線路のみであること。

 * 受電線以外の電線路が構外の電気工作物と接続されている電気工作物は一般用電気工作物に該当しない。

⑤ 電気工作物が爆発性または引火性の物が存在する場所に設置されていないこと。

* “爆発性または引火性の物が存在する場所”とは、具体的に次の場所をいう。
・火薬類取締法に規定される火薬類(火薬、爆薬及び火工品)を製造する事業場。
・鉱山保安規則が適用される鉱山のうち甲種炭坑又は平成7年通商産業省告示第615号で定める乙種炭坑。

6.小出力発電設備とは

①太陽電池発電設備であって出力50kW未満のもの  

②風力発電設備であって出力20kW未満のもの  

③次のいずれかに該当する水力発電設備であって、出力20kW未満のもの

a.最大使用水量が毎秒1m³未満のもの(ダムを伴うものを除く。)
b.特定の施設内に設置されるものであって別に告示するもの 

④内燃力を原動力とする火力発電設備であって出力10kW未満のもの  

⑤次のいずれかに該当する燃料電池発電設備であって、出力10kW未満のもの

a.固体高分子型又は固体酸化物型の燃料電池発電設備であって、燃料・改質系統設備の最高使用圧力が0.1Mpa(液体燃料を通ずる部分にあっては、1.0Mpa)未満のもの
b.道路運送車両法第二条第二項に規定する自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車並びに被牽引自動車を除く。)に設置される燃料電池発電設備(当該自動車の動力源として用いる電気を発電するものであって、圧縮水素ガスを燃料とするものに限る。)であって、道路運送車両の保安基準第十七条第一項及び第十七条の二第三項の基準に適合するもの 

⑥発電用火力設備に関する技術基準を定める省令第七十三条の二第一項に規定するスターリングエンジンで発生させた運動エネルギーを原動力とする発電設備であって、出力10kW未満のもの  

ただし、同一の構内で①から⑥の小出力発電設備が電気的に接続された場合の出力合計が50kW以上となった場合は、小出力発電設備ではありません。  

なお、同一種類の小出力発電設備が同一構内に複数ある場合においては、種類毎に合算したその種類の上限値(例えば④の内燃力発電設備であれば10kW)では判断せず、個別の小出力発電設備の合算値が50kWの上限値以上であるかどうかで判断します。  

7.まとめ

以上に電気工作物の区分を細かく記載しましたが、電気事業の用に供する電気工作物や自家用電気工作物があったり、事業用で使用する600V以下の電気工作物も事業用電気工作物だったり、小出力発電設備の細かな区分があったりと紛らわしいため、忘れた場合には、また、この記事で確認してみて下さい。

長々と記載していますが、最後に一言「事業用電気工作物とは、一般用電気工作物以外の電気工作物をいう!」この一言だけは、覚えておいて損はありません。

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以上

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