【資格取得】「〇〇主任技術者」と名が付く資格 ~電気事業法、河川法、原子炉等規制法、ガス事業法、電気通信事業法、水道法、建設業法~
私は、電気主任技術者の資格を保有しています。また、電気工事施工管理技士、管工事施工管理技士、及び技術士の資格を保有しているため、建設業法における工事現場の技術的な管理を担う主任技術者の要件を持ち合わせています。
このように、国家資格に「〇〇主任技術者」と名がつく資格が複数あります。
今回は、9つの「〇〇主任技術者」について資格の制定法令、概要、および取得方法を解説します。
1.電気主任技術者
(1)資格の制定法令
電気事業法43条1項では、「事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、経済産業省令で定めるところにより、『主任技術者免状の交付を受けている者』のうちから、『主任技術者』を選任しなければならない。」と定めている。
所管は、経済産業省。
(2)資格の概要
電気主任技術者とは、電気設備・電気工作物における維持・管理・運用に関する保安監督者です。第一種、第二種、第三種にわかれていて扱える設備が違います。扱うこができる電気工作物として一種はすべての電気工作物、二種は170,000V未満の電気工作物、三種は50,000V未満の電気工作物(出力5,000kW以上の発電所を除く)です。
(3)資格の取得方法
試験又は、実務経験による申請認定による。
2.ダム水路主任技術者
(1)資格の制定法令
水力発電所(水力発電を行う電気工作物)において電気事業法に規定する主任技術者として選任された者のうち、水力設備に係る保安の監督を行う者のこと。
所管は、経済産業省。
(2)資格の概要
水力発電所の水力設備(ダム、導水路、サージタンク及び水圧管路等)の工事、維持及び運用に係る保安の監督を行い、安全の確保や電力の安定供給を図る。
(3)資格の取得方法
学歴(または既得資格)と実務経験によってのみ免状の交付が受けられる。(試験による取得制度はない)
3.ダム管理主任技術者
(1)資格の制定法令
ダム管理主任技術者とは、河川法の規定により利水ダムに置かれる管理主任技術者のこと。
所管は、国土交通省。
(2)資格の概要
水力発電やかんがい用水など、流水の貯留や取水のために設置されるダム(高さ15メートル以上)について、ダムの維持、操作その他の管理を適正に行うためにダム設置者が配置し、河川管理者に届け出なければならない。
(3)資格の取得方法
試験による取得と研修による取得がある。
4.ボイラー・タービン主任技術者
(1)資格の制定法令
ボイラー・タービン主任技術者(ボイラー・タービンしゅにんぎじゅつしゃ)とは、火力発電所(火力発電を行う電気工作物)、原子力発電所または一定規模以上の燃料電池発電所において電気事業法に規定する主任技術者として選任された者のうち、火力・原子力・燃料電池設備に係る保安の監督を行う者のこと。
所管は、経済産業省。
(2)資格の概要
発電用の火力設備・原子力設備・燃料電池設備の工事、維持および運用に関する保安の監督等にあたる。
(3)資格の取得方法
学歴(または既得資格)と実務経験によってのみ免状の交付が受けられる。(試験による取得制度はない)
5.原子炉主任技術者
(1)資格の制定法令
原子炉主任技術者(げんしろしゅにんぎじゅつしゃ)免状は、環境省原子力規制委員会が主管する国家資格である。 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下、原子炉等規制法)に基づき、原子炉設置者の行う原子炉の運転に関して保安の監督を行うため、炉ごとに炉主任の選任が義務付けられている。
所管は、環境省。
なお、原子炉規制法でいう原子炉とは、原子力基本法で定める核燃料物質を燃料として使用する装置をいう。
(2)資格の概要
原子炉主任技術者とは、「核原料物質、核燃料物質および原子炉の規制に関する法律」に基き、保安規定の実施と保安の監督にあたる者を認定する国家資格である。
(3)資格の取得方法
試験による合格のみ取得が可能。
6.ガス主任技術者
(1)資格の制定法令
一般の需要に応じ導管を通じて供給される都市ガスの製造、供給、小売全ての過程のガスを取り扱う資格。『ガス事業法』に基づきガス工作物の保安・監督などを行う。
所管は、経済産業省。
(2)資格の概要
ガス主任技術者(がすしゅにんぎじゅつしゃ)とは、ガス事業(小売・導管・製造)の用に供するガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、設置者がガス事業法上置かねばならない保安のための責任者である。
ガス主任技術者の指名に際しては、経済産業省令に定められる通り、対象とするガス工作物の最高使用圧力に応じて、甲種、乙種及び丙種ガス主任技術者国家試験に合格し、免状を保有している者のうちから選出しなければならない。
(3)資格の取得方法
試験による合格のみ取得が可能。
7.電気通信主任技術者
(1)資格の制定法令
電気通信主任技術者とは、事業用電気通信設備の工事、維持及び運用に関する事項を監督させるため、電気通信事業者によって選任された者である。 電気通信主任技術者は、原則として電気通信主任技術者資格者証の交付を受けた者のうちから、これを選任しなければならない(電気通信事業法第45条)。 総務省所管。昭和60年(1985年)電気通信事業法の施行と同時に制定された。
所管は、総務省。
(2)資格の概要
電気通信ネットワークの工事、維持及び運用の監督責任者である。事業用電気通信設備を、総務省令で定める技術基準に適合させ、自主的に維持するために電気通信設備の工事、維持及び運用の監督にあたらなければならないこととなっている。
電気通信事業者は、設備の設置の区域が同一市区町村で利用者が3万人未満の場合を除き、電気通信主任技術者資格者証の交付を受けた者のうちから選任しなければならないとされている。 また、平成22年度(2010年度)より都道府県毎にも選任しなければならない。
(3)資格の取得方法
試験の合格又は、総務大臣の認定を受けた学校等の団体は、養成課程(講習)を実施でき、この修了による。
8.給水装置工事主任技術者
(1)資格の制定法令
給水装置工事主任技術者は、給水装置工事事業者が水道事業者から水道法に基づく指定(指定給水装置工事事業者*)を受けるための必須の国家資格である。
所管は、厚生労働省。
*指定給水装置工事事業者制度(概要)
指定給水装置工事事業者制度は、給水装置工事により設置された給水装置が、構造材質基準に適合することを確保するため、水道事業者が、その給水区域において給水装置工事を適正に施行することができると認められる者の指定をすることのできる制度である(水道法第16条の2)。
指定給水装置工事事業者が行う 給水装置工事の技術水準を確保するため、工事施行の核となる給水装置工事主任技術者について、国家試験により全国一律の資格を付与している (水道法第25条の5第1項)。また、水道事業者による指定給水装置工事事業者の指定の基準は、水道法で全国一律に定めている(水道法第25条の3第1項)。
(2)資格の概要
給水装置工事主任技術者試験(国家試験)に合格し、交付申請により厚生労働大臣より給水装置工事主任技術者免状の交付を受けた者をいう。
給水装置工事主任技術者は、給水装置工事事業者が水道事業者 ( 市町村等 ) から水道法に基づく指定( 指定給水装置工事事業者 )を受ける為に必須な国家資格である。
つまり、給水装置工事技術上の管理を行う責任者です。
給水装置に関する技術上の管理、給水装置工事に従事する者の技術上の指導監督、給水装置工事に係る給水装置の構造及び材質が基準に適合していることの確認、施工した給水装置工事に関して水道事業者が行う検査への立ち会いを行う。
(3)資格の取得方法
給水装置工事に関して3年以上の技術上の実務の経験を有する者が試験の合格により取得。
給水装置工事主任技術者研修について. 令和元年10月1日に改正水道法が施行され、給水装置工事事業者の5年更新制度が導入されました。
9.建設業法の主任技術者
(1)資格の制定法令
主任技術者とは、建設業法の規定により、外注総額4000万円未満(以下、記載金額はいずれも消費税込み金額)の元請業者、ならびに下請負に入る建設業者が、直接雇用する技術者の中から、現場に配置しなければならない技術者のことである。外注総額4000万円以上の元請負の現場には主任技術者にかえて監理技術者の配置が必要となる。なお、ここでの4000万円の金額区分は、建築一式工事の場合は6000万円となる。(建設業法第26条第1項)
請負代金の額が500万円未満(建築一式工事にあっては1500万円未満の工事又は延べ面積が150平方メートル未満の木造住宅工事)で、建設業許可を取得していない者が行う小規模工事の場合は、主任技術者の配置の必要はない。ただし、建設業許可を取得している者であれば、請負代金の額が500万円未満であっても主任技術者の配置は必要である。(建設業法第26条第1項、第2条第3項、第3条第1項、建設業法施行令第1条の2第1項、第2項、第3項)
所管は、国土交通省。
(2)資格の概要
主任技術者の職務は、建設工事の適正な施工を確保する観点から、当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどることである。すなわち、建設工事の施工に当たり、施工内容、工程、技術的事契約書及び設計図書の内容を把握したうえで、その施工計画を作成し、工事全体の工程の把握、工程変更への適切な対応等具体的な工事の工程管理、品質確保の体制整備、検査及び試験の実施等及び工事目的物、工事仮設物、工事用資材等の品質管理を行うとともに、当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督を行うことである。
(3)資格の取得方法
主任技術者となるためには、次の資格が必要である。
a.1級国家資格者
業種によって違うが、おおむね1級建築士、1級建築施工管理技士、1級土木施工管理技士、1級電気工事施工管理技士、1級管工事施工管理技士、1級造園施工管理技士、1級電気通信工事施工管理技士などの資格が必要である。関連した分野の技術士でも認められる。これらの資格者は監理技術者(管理、ではない)として認められる場合がほとんどである。
b.2級国家資格者
業種によって違うが、おおむね2級建築士、2級施工管理技士などが該当する。技能士の資格を取得後一定の実務経験などを経たものも認められる場合がある。
c.実務経験者
請負った建設工事に関する実務経験が10年以上、あるいは、建設関係の指定学科を修め高校卒業後5年以上、又は大学卒業後3年以上の実務経験を経たもの。
10.まとめ
今回、9つの各主任技術者資格を紹介した。
1~7までは、設備の保安に関する主任技術者で、8と9については、工事管理の主任技術者の資格である。
中には、似たような名前の主任技術者もあり、「ダム水路主任技術者」(電気事業法、所管:経済産業省)と「ダム管理主任技術者」(河川法、所管:国土交通省)の違いは、今回調べてみて初めて知りました。
設備保安及び工事管理、いずれの仕事においても、技術的な要となる責任者としての資格であり、その任につく者は、高い技術力を備え、高い倫理観を持ち業務にあたる必要がある。
以上
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