ホンモノ温泉の知識について、過去記事で紹介してきましたが今回は、温泉そのものの「鮮度」を決める科学的数値について紹介します。
1.酸化還元電位
酸化還元電位(mV)とは、温泉の鮮度を知る、科学的な数値(単位)です。
温泉の鮮度を決めるキーワードとなるのが、「還元力」です。
それを科学的に示す方法が酸化還元単位(ORP=Oxidation-Reduction Potential)という評価方法です。
その原理は酸化還元反応過程で電子の濃度を測定するというものです。
ごく簡単に言えば、物質が電子を失うことを「酸化」、電子を得ることを「還元」といい、そのどちらに振れているかをORP計という専門の機器で測定します。結果の単位は、ミリボルト(mV)です。
その目安として、基準となるのが、塩素が入っていないペーハー(pH)が中性のミネラルウォーターで、それをOR計で測定するとプラス200mVが得られます。この数値が、酸化と還元の境となる値であり、電子が過不足なく釣り合っている平衡状態です。
これよりも数値が高くなるほど酸化系、少なくなるほど還元系の温泉といえます。
「還元力」の高い温泉では、この数値がマイナスになることも少なくありません。
ちなみに一般の水道水は塩素が入っているため+500mV前後、東京都の水道水は相当に酸化されているようで+700mV以上です。
よって、塩素が入っている循環風呂のマガイモノ温泉は、酸化系の数値を示します。
一方、源泉かけ流しのホンモノ温泉は、還元系を示し、よい温泉ほど、その数値はマイナスとなります。
2.還元系ホンモノ温泉の効果「若返りの湯」
温泉は、昔から「若返りの湯」と呼ばれてきました。温泉に入るとお肌がツルツル、しっとりとし、化粧のノリがよくなるといった経験は、多くの女性の方が実感しています。
最近、老化やがんの原因とされる活性酸素を除去することを謳った食品やサプリメントを増えています。
活性酸素が細胞を酸化させることは近年、広く知られるようになりました。
酸化というのは、分りやすく言えば、細胞が錆びることです。鉄が錆びるのも、生ものが腐敗するのも、酸化が原因です。
一方、酸化の反対が還元です。
還元は、酸化とは逆に、錆や腐敗を防ぐ働きをします。
これを人間に置き換えると細胞を活性化させ、肌を若返られてくれるといった効果をもたらします。
温泉に浸かると若返るといわれてきたのは、本来の温泉には還元力があったからにほかならないのです。
3.温泉の劣化要因とは(まとめ)
地表に湧き出す前の温泉は、もともと、還元系の性質を持っています。これこそが温泉の科学的価値と言えます。
それが、地下深くから湧き出して空気に触れ、時間が経過したり、塩素系薬剤(殺菌剤)を入れたりすると性質がたちまち「酸化系」に変わっていきます。温泉の老化(エイジング)が進みます。
前にも述べましたが、温泉の劣化要因は、以下の4点です。
(1)湧き出し箇所(泉源)からの浴槽までの距離
(2)浴槽での滞留時間
(3)浴槽内に浸かっている人数
(4)論外の劣化要因(塩素と循環風呂)
<野沢温泉 源泉かけ流し くつろぎの宿 池元>
以上より、良いホンモノ温泉、つまり「還元系」温泉を選ぶコツは、
(1)湧き出し箇所(泉源)からの浴槽までの距離が短く
(2)浴槽での滞留時間が短い、つまり、浴槽から源泉が溢れ出している状態
(3)浴槽内に浸かっている人数が少なく、まばらな温泉
(4)循環風呂でない源泉かけ流しの浴槽
以上の4つが備わっていれば、文句なしの良いホンモノ温泉、つまり「還元系」温泉と言えます。
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以上
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