【源泉かけ流し温泉】強酸性泉に殺菌効果 ～川湯温泉で実証実験～
強酸性の泉質で、名湯である北海道釧路管内弟子屈町（てしかがちょう）の「川湯温泉」の温泉水に、どの程度の殺菌効果があるのかを確認する目的で、実証試験が行われました。
「川湯温泉」は、源泉掛け流しを宣言しているホンモノ温泉で、私も入浴経験があり、大好きな温泉です。
今回の記事では、温泉実験の概要や実験結果、代表的な酸性泉などについて紹介し、武漢ウイルスの除菌効果と湯治効果による免疫力アップに繋げてほしいと期待します。
１．摩周湖観光協会による実証試験方法（大塚吉則教授の監修）
実験は、2020年11月、12月の2回、温泉療法に詳しい札幌国際大学の大塚吉則特任教授の監修のもと、弟子屈町の摩周湖観光協会が実施しました。
大塚吉則教授については、著書の「新版 温泉療法 ～温泉と自然が生み出す健康づくり～」を読んだことがあります。北海道大学の教授もなさっていた方で、医師と医学博士であり、温泉医学の研究に取り組んでこられた方で、温泉医学の第一人者です。
試験方法は、被験者として参加した弟子屈町民が、両手を擦り合わせて、手のひらを左右、同じ条件にします。
次に左手を水道水、右手を温泉水に5分間、浸します。
その後、自然乾燥して左右の手のひらの細菌を培養し、その数を比較しました。
２．温泉殺菌効果の実証試験の結果
＜実験結果写真＞
水に浸した手のひらを専用のプレートに付けて殺菌を培養すると、水道水（左）と温泉水（右）では、明らかな差が確認できました。（摩周湖観光協会提供）
＜実証試験結果の解説＞
2020年12月に実験した弟子屈町民8人の実験では、温泉水に浸した後に、手に残った細菌数は、水道水に浸した手の細菌数に対して平均して僅か4.4％しか居ませんでした。
つまり、温泉水に浸した手に残る細菌は、同じ条件で水道水に浸した手と比べて20分の1程度の少なさであることが分りました。
この結果は、2020年11月に11人が参加した実験においても、同様な結果が出ており、12月の実験で結果が更に裏付けられました。
大塚吉則教授は、「温泉水そのものの殺菌作用が働いたと考えられる」とのコメントを残しています。
３．摩周湖観光協会の今後のプラン
・摩周湖観光協会は、今後も泉質の効能調査を続けデータを蓄積して、温泉活用の糸口を探っていくとしています。
・殺菌効果の高い川湯温泉の特色を活かした湯治プランを企画提案していくなど、川湯温泉の特性を活かし新たな観光PRを企画して、集客アップを目指してしていきたい考えです。
・以上より、源泉掛け流し温泉文化を継承していく意味合いにおいても、摩周湖観光協会と川湯温泉の各施設には、是非とも頑張って頂きたいと願います。
・また、武漢ウイルスで冷え込んだ温泉業界や観光業界を立て直すキッカケになってほしいと期待します。
４．酸性泉の殺菌効果と注意事項
酸性泉には硫黄成分を一緒に含んでいる「川湯温泉」や「草津温泉」のような酸性硫黄泉と
酸以外の成分が少なく基準に達していない単純酸性温泉として福島県の「岳温泉」、秋田県の「蒸の湯温泉」のような温泉の2種類があります。
前者は、硫黄泉であり比較的一般的ですが、後者は、全国的にもめずらしい温泉です。
いずれも、酸性であるため、お湯は殺菌効果が高く、水虫が治ったりすることもあります。
今回の実験は、以上の体験を科学的に裏付ける貴重な実験結果となりました。
但し、このタイプの温泉は、心身に与える刺激が強く（これが個人的には好みで良いのですが）、湯あたりにあたる頻度は、単純泉に比べて高いといえます。
川湯温泉の各施設では、温泉浴槽とは別に真湯浴槽を設けているのも、湯あたり防止、湯ただれ予防が目的です。
私は、温泉慣れしているので、真湯をほとんど利用しませんが、久しぶりに強酸性泉に入るときには、湯あたりに気を付けたいと考えています。
皮膚の弱い方や体調の優れない方は、酸性泉の入浴後、温泉皮膚炎の発症を予防するために、真湯浴槽への入浴、またはシャワーなどの真湯で、温泉成分を流すようにした方が安全です。
５．代表的な酸性泉・酸性硫黄泉
川湯温泉（北海道）、十勝岳温泉（北海道）、酸ケ湯温泉（青森県）、玉川温泉（秋田県）、蒸の湯温泉（秋田県）、須川温泉（岩手県）、蔵王温泉（山形県）、岳温泉（福島県）、那須湯本温泉（栃木県）、草津温泉（群馬県）、万座温泉（群馬県）、別府明礬温泉（大分県）
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