【安全管理・安全対策】安全帯が「墜落制止用器具」に変わりました! ~特別教育での着用体験で得た「フルハーネス」選びのポイント~
先日、高所作業時に、フルハーネス型墜落制止用器具を用いて行う作業に係る業務に就く場合の特別教育を受けました。その中で、私が着用してみて感じた「フルハーネス」選びのポイントなどを以下に解説します。
そもそも、なぜ規定が変わったのかと言うと、今までの安全帯では墜落時に内臓の損傷や胸部等の圧迫により、宙吊りの状態から救出までに壊死する危険性を緩和する目的で、フルハーネス型に移行する政令等(労働安全衛生法施行令等)が改定されました。
〔改定の4つポイント〕
1.安全帯を「墜落静止用器具」に変更
言葉が長くなりましたね!「ついらく制止用きぐ」持ってきて!言いづらいです。なお、今までの胴ベルト型(U字つり)の安全帯は、「墜落制止用器具」にはならず、「ワークポジショニング用器具」の位置付けだそうです。この「ワークポジショニング用器具」は職種により、併用する場合がありますので、選定の留意点で解説します。
2.墜落静止用器具は、「フルハーネス型」を使用することが原則
但し、高さ6.75m以下は「胴ベルト型(一本つり)」の墜落制止用器具(一本つりの安全帯は、墜落制止用器具)を使用できます。要は、フルハーネス型だと6.75m以下で、墜落時に地面に接触するケースがあるため、高さ区分をしています。
3.経過措置(猶予期間)
現行の安全帯(胴ベルト型、フルハーネス型)を使用できるのは2022年1月1日までです。現行のフルハーネス型などもショックアブソーバ等の規格が変わっているため、買い替えが必要です。
4.特別教育(安衛則第36条、特別教育規定第24条)
「高さが2m以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、フルハーネス型墜落制止用器具を用いて行う作業に係る業務」に就く者が対象です。特別教育は5つの科目があり、6時間(学科4.5時間、実技1.5時間)受講する必要があります。
〔フルハーネス 選び6つのポイント〕
1.フックを取り付ける位置が、腰のより高いか低いかでショックアブソーバの規格が変わります。
フック取付位置が腰より高い場合には第1種(4kN、落下距離4m)、低い場合には第2種(6kN、落下距離6m)のショックアブソーバを選ぶ必要があります。なお、兼用の場合には、第2種となります。これは、使用可能質量が100kgの場合で、体重が重い場合には仕様を変える必要があります。
※1.第2種ショックアブソーバのサンプルリンク↓
2.サイズは、S、M、L、LL、フリーサイズなど
自分の体に合うサイズを選びましょう。体重と身長より適用サイズが、製品の体格相関図で分ります。
3.腿(もも)ベルトは、V字型と水平型があり
しゃがんで作業する方は、水平型が楽です。
※2.腿ベルト 水平型のサンプルリンク↓
4.ランヤードは、ロープ式、伸縮式、巻取り式があり
ロープ式、伸縮式、巻取り式の順に値段が高価になります。巻取り式は、安全ブロックの小型品を腰に付いているイメージです。
※3.ランヤード 伸縮式のサンプルリンク↓
※4.ランヤード 巻取り式のサンプルリンク↓
5.ワークポジショニング用器具との併用
電柱や鉄塔の昇降用として、ワークポジショニング用器具〈旧、安全帯(胴ベルト型U字つり)〉との装着を併用する場合には、敢えて胴ベルトなしのものを買った方が、胴ベルトがラップしないため、付けやすいです。なお、「ワークポジショニング用胴・補助ベルト付きハーネス」で一体化した製品もあります。胴ベルトの耐荷重の仕様が許容できるのであれば、一体化の方が体の負担は、軽くなります。但し、併用の方は、パーツとして外せるため、作業内容の変化で併用しなくても良い場合には有利です。
※5.ワークポジショニング用胴・補助ベルト付きハーネス(一体化)のサンプルリンク↓
6.昇降用フロントD環付きハーネス
標準は背中にD環が付いているものですが、昇降用など前に付いていた方が昇り降りしやすい場合の仕様です。ただ、現在は規格改変の関係で、新規格適合品は見当たらず、今後の適合品待ちの状態です。(旧規格品がネットで販売されていますので、購入時に注意してください)
以上、フルハーネスは、安全作業に使う器具であるため、自身や職場で使いやすいものを選び、作業時のストレスを低減することで、安全作業のサイクルがスパイラルアップしていく好循環に繋げて下さい。
以上
<フルハーネス型墜落制止用器具の紹介>
※新規格品の販売を開始していますが、メーカ工場の生産数が限られているため、納期待ちの製品があります。(現状で、注文後10ヶ月ほどかかる場合あり)2022年1月2日からは、旧規格品の使用が出来なくなるため、その前に、早めの予約購入をお勧めします。
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