【電気事業法】一般電気事業者と新電力の違い ~電力自由化後の電気事業体制~

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電気主任技術者(第1種、2種、3種)

1.一般電気事業者とは

 

一般(工場や家庭等)の需要に応じて電力の小売業を主に行っている会社のことをいいます。日本で主に挙げられる一般事業者は、北海道電力・東北電力・東京電力・北陸電力・中部電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力の10社があります。

 

戦前までは電気事業は国営事業でした。しかし戦後の1951年から「電力の鬼」と呼ばれ電力民営化に尽力なされた松永安左エ門の案である発送配電一貫経営が実現したことで、9 電力体制(北海道、東北、東京、中部、北陸、関西、中国、四国、九州9 つの民間電力会社による独占的な電力供給体制)が始まりました。その後、1972年に沖縄電力が設立したことから、現在は10社の電力会社を一般電気事業者と呼んでいます。

 

2016年4月からは、電力システム改革の一環で、「発電事業者」「送配電事業者」「小売電気事業者」という3つのライセンスに再分類されることになりました。

 

2016年4月に実施された小売参入全面自由化により、「一般電気事業」、「卸電気事業者」(200万kWを超える発電設備を有する事業者)や「特定規模電気事業」(PPS:大量の電力を消費する企業や工場など特定規模需要家に電力を供給する業者を指す)といった区別がなくなり、小売電気事業者に統一されることとなりました。ただし「一般電気事業者」を指したいケースにおいては、便宜的に「旧一般電気事業者」や、「みなし小売電気事業者」という名称が使われるようになりました。

 

2.新電力とは

 

新電力とは電力自由化後、経済産業省エネルギー資源庁から認可された「小売電気事業者」もしくは「発電事業者」のことを指します。

 

なお「送配電事業」は、一般電気事業から分割したネットワーク会社が担う形をとっています。

 

3.一般電気事業者と新電力の違い

 

一般電気事業者と新電力の違いのポイントは、以下の3つが挙げられます。

 

(1)新電力は、「送配電事業」を持たない

 

一般的に新電力とは「電気の小売りを行う会社」、つまり「小売電気事業者」となります。新電力会社の中には、大手電力会社のように発電を行う会社もあります。大手電力会社が主に石油火力などの大型発電をメインに電源構成をしているのに対して、新電力会社の中には再生可能エネルギーによる発電方式を積極的に取り入れているところがあります。新電力会社はその他に電気の卸売市場である、日本卸電力取引所(JPEX)からも電源供給を行っています。これらの電源は大手電力会社が利用している発電所の電気も含まれます。

 

(2)新電力は、託送料金を払い電気を届けている

 

送配電つまり、電線を使って各家庭まで電力を届けるという部分は大手電力会社の送配電部門が担当しています。新電力が一般家庭向けの送配電を担当することは現在のところほぼありません。そのかわり、新電力会社は送配電の維持費用を「託送料金」という形で負担しています。

 

(3)新電力は、「電気の販売」を専門に行っている電力会社

 

積極的に自社発電している新電力会社を除いて、ほとんどは大手電力会社と同様に発電専門の「発電事業者」から電気を調達し、送電会社の電線を利用し、一般家庭や商店・事業所などに電気を届けています。

 

4.おさらい・まとめ

 

電力自由化後の一般電気事業者は、「発電事業者」「送配電事業者」「小売電気事業者」という3つのライセンスを持っている全国の10電力会社を指します。

 

発電は「発電事業者」が行い、送電は「送電事業者」が行い、販売は「小売電気事業者」が行います。

新電力は、「小売電気事業者」を指します。

以上

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